榊原昌彦

2017/05/09

源泉徴収は自分でハンドリングした方がいいという話

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というツイートを見かけまして、これにまつわる私見をまとめておきます。

Web制作費って本当に源泉徴収いらない?

出典元では、所得税法の第204条1~8に定められているからデザイン料は源泉徴収必要。定められていないから制作費は不要、と書かれています。しかしながら、問題点はこれを税務署が認めるかどうか、です。

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というツイートもあるように、請求の科目は恣意的なものでしかなく、「こういう科目なら源泉徴収」「こっちだったら」とやってると、税務署に「実体は違うよね」「業務に含まれるよね」というつっこみをされた時に、一会計事務所の法的解釈をもって戦うことは現実的ではありません。例えばフリーランスの建築設計には源泉徴収がかかることが定められていまして、Webの科目がないというのは「現在、ない」に過ぎません。
国税局からの通達がいつきて源泉徴収必須になるかもわからないわけなのです。

フリーランスに依頼する事業者は、源泉徴収しておいた方がいい

源泉徴収はそもそも税金の徴収を確実にするための仕組みです。確定申告で支払わない人多いから、先にお金を預かってしまおうという制度なのです。

ですので、「源泉徴収する or しない」の問題は、「相手が確定申告をする or しない」、と直結していて、相手が確定申告をしなかった時に起こるペナルティの連帯責任を負うか、というところが議論の本質になると思っています。
仮に「Web制作費は指定された科目にないから」と源泉徴収をせずに100万円支払って、相手が確定申告しなかった場合、税務署は当然ながら支払い事業者に対しても「どうして源泉徴収をしなかったんだ(だから、税金とれないじゃないか!)」といってくるリスクが生まれるわけです。上のツイートにあるように、源泉徴収納付を迫られて、じゃあ振込金額の一部を返してもらうかどうか、みたいなことも起き得ます。

ですのでリスクを考えると、源泉徴収はしておくに越したことはないわけです。もちろん源泉徴収義務者に限った話ですよ!

フリーランスは源泉徴収をハンドリングしよう

勝手にお金を引いて入金された、源泉徴収分がわからない、源泉徴収票がもらえない可能性がある。「だから、源泉徴収しないで欲しい」という話を時々聞きます。

けれど、これは大きな間違いで、先方からしたら「源泉徴収義務者だから徴収した」「給与じゃないので、源泉徴収票発行義務はない」というルール通りに振る舞っているだけです。源泉徴収分や源泉徴収票の発行は自分たちの業務ではないので(善意でしてくれるところもありますが)、やる必要がないのに筋違いの文句を言われているわけです。
業務外のことを要求しているという理解が必要です。

で、これを解決するためには、源泉徴収のハンドリングを自分でするしかありません。前述したように、「Webデザインだったら源泉徴収する」「Web制作だったらしない」とかいう恣意的な選択を、源泉徴収票発行義務すらない相手にさせてはいけないのです。

私が秀逸だなと思ったのは、以前個人で仕事をしている方からいただいた請求書に以下のように源泉徴収分が明記されていたことです。

—-
小 計   ****円
消費税   ****円
総 額   ****円
—–
源泉徴収額 ****円
振込額   ****円

当然ながら源泉徴収額は把握できますし、仕分け上、仮払税金への分類も簡単にできます。

まとめ

源泉徴収を考える時は、法的に正しいか否か、ではなく、リスクはどちらが低くなるか、どうやったらシステマチックに問題が解決するか、を考える方が現実的ではないでしょうか。業務以外での手間とコミュニケーションコストはできるだけ削って、ぜひとも業務に注力していただければと思います。

それでは、また。

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